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明日。3
明日。-3


―――――あなたと過ごしたい明日は、



 いつになったら愛は永遠のものとなるのだろうか。
 君を大切に出来ない僕に問われても、答えは出ないけれど。

 どうして世界には愛が必要だとみなは言うのだろうか。
 愛なんて形がなくて目に見えないのに、どうしていえるの。


 ただ君に逢いたい。

 名前を呟いては、頬に涙が流れそうになる。

 君を失ったのは僕のせいだから。
 君が行ってしまったのは僕のせいだから。
 君は君を責めなくていいんだよ。

 もし僕が君の傷をまだ癒せるすべを持っているのなら、
 その傷を僕に治させてくれないだろうか。

 優しい笑顔が救ってくれていたのに、
 包み込んでくれる君の温かさを守っていたいのに、
 どうしても僕は不器用で勝手だからさ、
 自分のことしか見えてなくて、ごめんね。




「美羽・・・・」



 飛行機の中で何度も呟いた名前は、むなしくも求めている人には聞こえない。
 どうしようもない心のざわめき。
 俺はあの人を取り戻せるのか。いや、取り戻す。

 フランスなんて、何年振りだろうか。
 春のフランスには行ったことがないが、きっと人でにぎわっているに違いない。
 水の都は綺麗だろうか。
 どのような町なのか。

 きっとどこよりも芸術に溢れているに違いない。

 電車の中でもそのことだけを考えながら着たものだから、何の当てもなくただ目的の場所を求めてやってきた。

 訪れてみれば、町の中には噴水がとおりのいたるところにあり、古い建物からは趣が感じられる。

 この町のどこかに捜し求めている人がいる。そう直感で感じた。

 どのくらいで見つけられるだろうか。
 いや、そうではない。
 どうやって再び思いを伝えるか。

 そういえば・・・・


「ここ、あいつがいるな。」


 人生の中の悪友の一人、直輝が。









 青い空がいつもよりなぜか澄んで見えた。
 いつもは私の心を映したようなどんよりとした空だったのに。
 その空が私に何かを訴えていたのかもしれない。


 胸をくすぶる人の笑顔は
 まぶたを閉じれば今でも浮かんでくるけれど、
 毎夜のごとく頬になびだを落としてはしみを増やしていく

 心地の良い風は私の心を癒してくれる。

 どうかもう一度
 もう一度だけ
 私に愛を与えてください。

 本当に私の生に愛はないの??

 もう一度愛することができるのなら
 もう一度あの人を愛したいです。

 自分を責めることはやめなよと、誰かが囁く声がする。
 うんそうだね、と頷いては見るもの
 心のどこかで頷きたくない自分がいる。

 悲劇のヒロイン振るのはもうやめたい。
 勇敢なヒロインがいてもいいんじゃない??

 心が叫んでいるのが聞こえる。

 今はまだ何も言わないで。

 まだ答えが見出せないから。



 輝く星は幾千も光を放って訴える。
 「前へ進むのだ。さぁ、早く。」

 君と共にいる明日を迎えたい。


「Je taime, IORI.」

 毎晩夜の空に向かって必ず言うの。

 愛を囁いているとその愛は実るから。
 いつかきっと届くから。


 あなたに届くから。



update : 2007.12.01
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html : A Moveable Feast