home > original works > novels index > 第1部 過去を想う少女











あのね、あのね。

伝えたいことがあるの。

でもね、それを伝えたいのは山々なのに

伝えるのが すごく怖い―・・・・




















閉じた瞼にキスを落として

私はあなたの寝顔を見守った。

だんだん短くなってく過ごす時間。

治る見込みの無い、死。

逃れることのできない、別れ。

あなたの頬に涙をひとつ落として、願い続けるの。

星の瞬きを見つめて運命の時を待つのは辛過ぎる。

――――『俺と同じ魂を持ったの奴、愛してやってよ』

あなたの言葉に私は心を痛める。


愛せる訳が無い。

あなたと同じくらい愛せる訳が無い。


あなたと同じ魂を持った人は居ても、

あなたとは違うから。

きっと、越してしまう。

愛する時間の長さが違うから。

でも、きっと、愛を注いだだけの時間は

消えることは無いよね。


(あのね、あと数えられるくらいでお別れがくるの。)

私は彼の頬に触れ、落とした涙を拭う。

(私にあなた以外の人を愛せる時間はくるのかな?)

(私は、最後にあなたを愛したかった・・・・。)

人は一生に3人の人を愛するから。

だから、あなたは私の二人目となった。

一人目は父を、二人目はあなたを、そして・・・・

「ありがとう・・・・、」

カイ。翼の羽ばたく音の名を意味もつ名前を呼ぶ。

あなたの傍で響いた声はあなたの永遠を迎えてしまった。









川の流れが絶えないように、

時間も流れを耐えさせない。









そして、私は忘れられない時間を抱え、

新たな、あらたな。

私の運命を、




















update : 2006.03.07
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